たぶん、あいが生まれたのは、大阪心斎橋のアメリカ村

大ボリュームの音楽と、雑踏、ゴミとクラクションのひしめくこの街で、
5年前、私は自動販売機のすみにうずくまるあいをみつけた
「猫エイズ」と「白血病」に感染していた野良猫あい
私は、あいを拾って、看病をして、やがて一緒に暮らすことを決めたけど—
今、思う
私は、あいを拾ったけれど、
私の命も、あいに拾われた
生きることが死ぬほど苦しくて、
精神薬漬け、幻覚と幻聴と自殺念慮に飲み込まれそうだった私は、
あいを生かすことで、自分も、一緒に生きたいと、はじめて思えた
昨日、あいと一緒に、私の生まれた場所に行った

大阪の藤井寺市
かかりつけの獣医さんと相談した末、藤井寺市にある病院で、
あいの病状をもう一度、詳しく調べて、彼女を救う可能性を模索しようと思ったのだ
なつかしい街は…私の記憶がうすらぼんやりしているせいかな、
ほとんど覚えのある建物はなくて、だけどなんだか私は得意げに、
「おねえちゃんはね、ここで生まれたんだよ」と、
キャリーの中のあいに語りかけた
途中、何度も雪がちらついた
そういえば、あいと出会った年も雪の当たり年で、
大晦日には、世界が真っ白に染まるほどの吹雪になったっけ
その病院は、とても、とても、良い病院だった
いつもの獣医さんもわざわざ付き添ってくださったせいかもしれないけれど、
担当してくださった先生は、説明力、可能性のポケット、動物への愛情、
そして、言うまでもなく技術も、「最高だった」と振り返って、なお思う
あいの病状は、
残念ながら、けして手放しで喜べるものではなかった
むしろ…きっと絶望的といってもいいのかもしれない
だけど、たったひとつ、皆さんのお祈りのおかげで、
叶った願いがある
「あいに負担のない方法で」
じっくりと細部まで検査をし、
いつもの獣医さんと、今回の獣医さんが心行くまでディスカッションし、
最終的に出た結論は、
『手術は、しない方がいい』
そして
『抗がん治療をしても、延命できて3カ月。できればしない方がいい』
ということ
病名は、やはり、リンパ腫のステージ?だ
胃腸を除くほとんどのリンパ節に腫れが見られ、転移が多く見られる
しかし、心配していた出血はないだろうということで、お薬が減った
その上、やはり再度調べても、
猫エイズも白血病も発症の可能性は低いらしい
だから
おそらく10歳を超える…極端に言えば、12、3歳ではないかと思われるあいは、
ウィルスとは関係なく、ある意味、自然体な猫生の中で、
その最後にガンになってしまったのだろう
「あいに負担のない方法で」が叶った、もうひとつ
あいがこれから進んでいくであろう症状「貧血」は、
ゆっくりと意識が遠のき、眠るように、痛みもなく、その時を迎えるのだと言う

あたたかい場所で…
慣れ親しんだ音とにおいの中…
家族と、一緒に…

それって、100万とある「生き終わり方」の選択肢の中で、
あいが与えてもらったカードは、とても幸福なものなのじゃないかな
私は、「死」というものを、
「悲しい」ものだと、考えたくないと思っている
生きているかぎり、
みんな、いつか、
かならず命に終わりを迎える
逆に言えば、私たちは、生まれた瞬間から、
「生き終わり」に向けて、一歩、一歩、進んでいるのだ
「生き終わり」を受け入れ、愛し、その瞬間を最高のものにできてこそ、
その命が、まるごとしあわせだった、と言えるのじゃないかな…

そんなふうに言っているけれど…
本当は
あいがいなくなることは
体がもぎとられるくらい苦しい
痛い
悲しい
こわい
つらい
心がどこかへいってしまいそうだ
だけど、だからって、
あいが辿り着こうとしている場所から目をそらしちゃだめだ
生き終わってこそ、命
ともに、その時を迎えられることほど、しあわせなことはない

「奇跡」がおこれば、それはそれで、もちろんうれしい
だけど、今、私はあえてそのことは忘れる
もしも、「訪れるであろうその時」が、「明日」であろうと、
私も、あいも、後悔しないくらいに…
…うんと、楽しみぬこう!
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毎日、お祈りをしてくださって、本当にありがとうございます。
なのに、手をたたいて喜べるような結果をお伝えできなくて…ごめんなさい。
私は、これから、あいの「ごきげんさん」だけを第一に動こうと思っていますが、
ワガママを言いますが、良ければ皆さんは、どうかこれからも、あいの奇跡を願ってあげてください。
もしもどんな些細なことでも、「こんなのどう?」「こんなこともあったよ」というお話があれば、
「私が決意を固めたのだから…」と遠慮せず、教えていただければ嬉しいです。
私…こんなにも、人を信じ、頼りにしたのははじめてです。
みんなのおかげです。
本当にありがとう。
ただひとつ、気がかりなのは…
あいのことを、もしかしたら私以上に深く愛してくださっている方たちが、
とてもとても傷ついてしまうのではないかということ…
私に気遣って無理をしないでくださいね。
一緒に…よければ、一緒に、私と泣いてください。
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